旬の食材で出来る、簡単家庭料理のレシピ。
お米を知り尽くした土地の知恵がぎっしり詰まった、
究極にごはんが進む料理!簡単にできて、毎日うまい!




「山形のいも煮」「山菜そば」「納豆汁」など繰り返し作っても飽きない料理を東北、山形の味からピックアップして紹介いたします。秘密のケンミンSHOWでは、かなりの頻度で紹介される山形のおもしろくて、簡単な味わいをぜひ!






「田舎ごはん」の制作に取り掛かったのは、「ビニール袋で手早く出来る野菜のうまみが活きる漬け物」出版後の1年半後の2011年秋。この頃には食卓に出る漬け物が私の漬けたものか、義母が漬けたものか、夫にさえもわからない程、腕をあげていました。また、義母が体調を崩し、前ほどの元気がなくなり、いつまでも「元気いっぱいの頑張るお義母さん」ではないという現実を知りました。
「義母の味を今のうちに聞いておかないと。あの時聞いておけばとの後悔はしたくない。」と強く思う様になりました。





P.77 大根の粕漬け
私は新しい漬物レシピを作ると、いつも義母に味見してもらい、助言をもらい、再度作り直し、完成していました。私の大好きな粕漬け。でも手間がかかって大変です。
ならばと、たった二日で出来る大根の粕漬けの作り方を開発しました。(本書のP77に書いてあります。)
ある日、食卓に出し、義母に食べてもらうと「これどうやって作ったんだ?」と聞かれました。「やった!」と作り方を説明すると「商売人が漬けたみたいだ。」と褒められました。これは山形のお母さん達の最大の褒め言葉なんです。この時に、漬物は師匠である義母にお墨付きを頂いたが、家庭料理はどうだろう?我家の味をきちんと後世に伝えられるか?という思いが強くなり、簡単でしかも懐かしい「田舎ごはん」のレシピをきちんととり、本にしたいと思いました。




 季節ごとの家庭料理をピックアップし、私なりに材料の量を調達。義母の作る味付けを求めて、調理。微調整しながら、レシピ取り。その後、原稿に落とす。この作業を数か月かけて繰り返しました。パソコンに向かって原稿を書きながら、作業の順序、作り方のコツなどを茶の間に座っている義母に聞くと、突然今まで聞いたことのない「料理のいわれ」や「昔話」を話出し、その話にびっくりしました。たとえば、お彼岸の頃、近所の方から「アケビあるか?ないなら持って行け。」と頂き、「○○さんからもらってきたよ」と義母に話すと、「仏壇にあげておけ。」と言われたものでした。頂きものは仏壇へということだと思っていましたが、「昔からご先祖様がアケビの船にのって帰ってくる。と言われていた。」と嫁いで17年、初めて聞きました!こんな昔は当たり前、でも現代には語り継がれていない楽しい話題も書き上げ、見て楽しい、作って楽しい、読んで楽しい「おかずにおいしい田舎ごはん」になりました。






義母だけでなく、実母、親戚の方はもちろん、近所のおばあちゃん達にも取材していくと、使う食材、味付けも相違がありました。「醤油味が常識だ。」「何言ってるんだ。昔からみそ味だべ。」などと「我が家のあたりまえは他の家では常識ではない」ことがわかりました。悩んだ挙句、私の常識を書き、その上で「家庭によっては、みそ味もあります。」とコメントを入れることにしました。ですから、「えっ、ここにはこう書いてあるけど、うちではこうだよね。」と言う様に私の本を読むことで、我家の味を見直すきっかけになればうれしいです!





PHPさんの担当者さんもびっくりの大ヒット「ビニール袋で手早く出来る野菜のうまみが活きる漬け物」。この本を書き上げ、達成感でいっぱいだった私。
翌年2010年(平成22年)秋には次回の本の依頼が来ました。翌年春に書き始めようと思っていた矢先に、東日本大震災が。東北が大混乱の中、今伝えていくのは漬物だけに特化するのではなく、知っている様で知らない、長年作る事を忘れられている様なシンプルな家庭料理全般なのではないかという思いが強くなりました。
私自身も義母より漬物作りには太鼓判を押されていますが、義母の作る料理はすべて網羅してあるかと思い、「田舎ごはん」レシピ作りに再度精を出しました。

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